R&Bサウンドの移り変わり:ニュージャックスウィングからオルタナティブR&Bまで

R&Bサウンドの移り変わり:ニュージャックスウィングからオルタナティブR&Bまで

ひとくちにR&Bといっても、時代によってサウンドは大きく変わってきました。ゴスペルやブルースを源流に持つこのジャンルは、ソウル、ファンク、ヒップホップなど周囲の音楽と影響し合いながら、何度も姿を変えてきたのです。ここでは、1980年代後半から現在までのR&Bサウンドの流れを、大まかに振り返ってみます。

ニュージャックスウィング:ヒップホップのビートとの出会い

1980年代後半から1990年代初めにかけて流行したのが、ニュージャックスウィングです。プロデューサーのテディ・ライリーが中心となって広めたスタイルで、ヒップホップの跳ねるようなビートに、R&Bの歌心のあるメロディーを組み合わせたのが特徴です。

ドラムマシンの硬いリズムとシンセサイザーの音色、そしてダンスを意識した軽快なノリ。それまでのしっとりしたR&Bとは違う、エネルギッシュなサウンドが多くのリスナーを引きつけました。

90年代のヒップホップソウルとボーカルグループ

1990年代に入ると、ヒップホップのビートの上でソウルフルに歌い上げるスタイルが定着していきます。メアリー・J・ブライジはその代表的な存在で、「クイーン・オブ・ヒップホップ・ソウル」と呼ばれました。同じ時期には、美しいハーモニーを聴かせるボーカルグループも数多く活躍し、R&Bはポップチャートの中心的なジャンルのひとつになっていきました。

ネオソウル:原点への回帰

1990年代後半には、ディアンジェロやエリカ・バドゥ、ローリン・ヒルらの作品をきっかけに、ネオソウルと呼ばれる流れが注目されます。生楽器の温かい響きや、ジャズやファンクの要素を取り入れたサウンドで、70年代ソウルの手ざわりを現代的に再解釈したスタイルです。打ち込み中心の音楽とは違う、ゆったりとしたグルーヴが魅力です。

オルタナティブR&Bと現在のサウンド

2010年代になると、フランク・オーシャンやザ・ウィークエンドらの作品に代表される、オルタナティブR&Bと呼ばれる流れが広がりました。エレクトロニックな音づくりや、余白を生かした空間的なサウンド、内省的な歌詞が特徴で、ジャンルの境界はますますあいまいになっています。

現在のR&Bは、ヒップホップやポップ、エレクトロニカと自然に混ざり合いながら、世界中のアーティストによって作られています。ストリーミングの普及で、海外の新しいサウンドにすぐ触れられるようになったことも、この流れを後押ししています。

日本のR&Bとのつながり

こうした海外の流れは、日本のR&Bにも大きな影響を与えてきました。1990年代後半からの日本のR&Bブームでは、海外のサウンドを取り入れながら、日本語の響きに合ったメロディーが数多く生まれています。Jay’edのように英語と日本語を行き来しながら歌うシンガーの存在も、こうした流れの中で育まれた魅力のひとつといえるでしょう。日本での歩みについては日本のR&Bのページでも紹介しています。

時代ごとのサウンドの違いを意識して聴き比べると、R&Bというジャンルの奥深さが見えてきます。好きな曲のルーツをたどってみるのも、音楽の楽しみ方のひとつです。